プリザーブドフラワー専門評論家稲田雅人のデザイン解説ブログ

創作花屋花の音というプリザーブドフラワーを中心としたウェブショップを立ち上げて9年。その間に10,000点近い作品を観てきた眼がそのデザインの善し悪しを的確に判断して、そのデザインを解説します。

お花のデザイン力をつけて、もっともっと世界を広げよう!

プリザーブドフラワー専門評論家の稲田です。

 

本年最初のオーダーはお花をあしらった時計のアレンジでした。

 

お客様のご要望はとっても具体的。なぜなら、どこかのサイトか何かに掲載されていた「イメージするデザイン」の画像を送っていただいたからです。

 

普通なら、その掲載していたお店ににオーダーしそうなモノですが、過去に弊店にて購入実績のある方でしたから、その時の仕事ぶりが評価されて、弊店にご依頼いただいたのだと勝手に推測(笑)


それならば、ご希望のデザインをご期待以上の出来映えでお応えするのが弊店のポリシー!

 

ただ、お客様には最初にこう告げさせていただきました。

 

「誠に申し訳ありませんが、お客様に送っていただいた画像の通り作って欲しいとリクエストされるのであれば、そのままにお作りする事はもちろん可能ですが、弊店のフローリストがこの時計の器を用いてデザインするとしたら画像と同じようなデザインには決してならないと思います」

 

私は、一目その送られて来た画像を見た時に、これはデザインと呼べるモノでは無いと思ったからです。

画像を見てもらうとお判りになると思いますが、これはデザインというよりもお花を配置したにすぎません。

 

 

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これを作られた方には誠に申し訳ありませんが、少なくともプリザーブドフラワー専門評論家と名乗っている以上、これをそのまま素敵ですね!と言う嘘をつく訳にはいきませんからね(苦笑)


作っている本人は一生懸命作られたのかも知れませんが、創意工夫を繰り返した上で構成されたデザインとは到底思えないのです。


(精一杯作った痕跡の感じられない作品は、プリザーブドフラワーの普及の為にもダメなものはダメと言おうと決めた2016年です)


こんな風に言う事は、実は自分の(弊店の)首を絞める事にもなり兼ねません。

「偉そうに言ってるけど大した仕事してないじゃん!」

そう言われる様な仕事ぶりはどんな時でもしてはいけなくなるわけですから…。

ま、裏を返せば、それだけの仕事を常にしている自信があるからこそ言えるわけです。


さあ、十分にハードルを上げたところで、弊店でご用意させていただいたお花の画像をご覧いただきましょうか…(笑)


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(お花数が違うのはご予算的な問題です。色味が違うのはお客様のご要望故です。)

比較すると私が言わんとする事がお判り頂けると思うのですが、いかがでしょうか?

どちらかがデザイン性に優れているとかいないとかは、この場合問題ではありません。

なぜなら、デザインとは好みによる部分も大きく影響するからです。

ここで是非感じていただきたいのは、ただお花を配置しただけのデザインと試行錯誤し練られた上でのしっかり計算されたデザインとの差です。


ハッキリ言います。ただ並べただけのデザインが世の中には多過ぎます。

それが生花に比べてプリザーブドフラワーのフローリストさんのデザイン力が劣る大きな理由の一つです。


これは、資格を取得する段階でのカリキュラムにも大きく問題がありますが、資格を取ってからは作り手一人一人がデザインに対して責任を持たねばなりません。

販売するにもそうですし、レッスンで生徒さんに教えるデザインにしてもそうです。

本来、プリザーブドフラワーはもっともっと魅力のあるお花です。

その魅力を作り手が存分に引き出さないでどうするんですか??

様々なSNSがこれだけ普及している昨今、多くの作品が日常的に目に止まります。だからこそ、もっともっと魅力的なお花デザイン作りに真剣に取り組んで、素敵なデザインが溢れる様になれば、プリザーブドフラワーはもっともっと世界が広がっていくのです!


プリザーブドフラワー専門評論家
創作花屋花の音 代表 稲田雅人